12月8日(木)アップリンクトークショー最終日 古居監督×並木麻衣さん

12月8日(木)のアップリンクトークショー最終日には、北スーダンの障がい者教育支援NPOキャペッズ事務局長・並木麻衣さんをゲストにお招きしました。

 並木さんは、東京外国語大学アラビア語科(平和構築学専攻)在籍中の2006~2007年、パレスチナ自治区(西岸)ビールゼイト大学、エルサレムのヘブライ大学へ留学しました。

 留学中にアラビア語のパレスチナ方言とヘブライ語を学びながら、現地の政情や人々の生活に触れて感じた体験を元に、「パレスチナとイスラエルに住んで」について古居監督と語り合いました。

古居監督「パレスチナ留学のきっかけは何でしたか?」

 並木さん「もともと東京外国語大学でアラビア語を勉強していて、現地を見てみたいなと思って。最初は本当に軽い気持ちの旅行でした。友達がシリアに留学しているので、ちょっとパレスチナの方も回って行ったら、怖くて悲しいと思っていた所が意外にみんな明るくて、もてなしてくれました。ニュースだけ見ているとパレスチナは怖い、危ない、悲しいとかそういうのばっかりなんですけど、それ以外の所を自分の言葉で掘り起こして、伝えていきたいというのがきっかけだったと思いますね」

古居監督「パレスチナやイスラエルの若者たちはお互いのことをどういう感じで話していましたか?」

並木さん(パレスチナについて)「私は外国人ですから、イスラエルもパレスチナも両方行き来出来て、エルサレムも行けるし、海も見られます。パレスチナの人々から見たら私は特殊な立場なので、申し訳ないと思うんです。パレスチナの人々は本当に見たい地中海も、本当に行きたい聖地も行く事が出来ない。だから彼らと話していると、行けていいわねって言われます。本当は自分達の物だから取り返したいんだけれども、イスラエルはあの手この手で色んな事をやってくるからいつになるか分からない。政治にも望みが持てないし、仕事も無いし、この先どうなるか本当に分からない。

大学を歩いていると授業を受けていないのにぷらぷらしてる人が沢山います。大学を出ても仕事がなくて、未来が見えず、コネが無いと就職出来ない状況なので結構フラストレーションが溜まっています。」

(イスラエルについて)「たまたま同世代位のイスラエル人とタクシーに乗り合わせたことがあるんです。私達は壁の向こうから来たんだと言うと『分離壁が本当は悪いということは分かるんだけど、あれを取ってしまったら私達の生活はどれだけ壊されるか分からない。だからそんな危険なことは出来ない』『自分達の生活を守るためには、例え壁の向こうの人達が不自由な思いをしたとしても必要だ』ということを言っていました。この若者はそういう風に危険だといつも思っているんだなと思いましたね。」

古居監督「普通の学生さんが訓練させられて、兵隊として占領地であるパレスチナに行かされる。映画にも出てきた、壁に『アラブにとってよくないことは自分達にとっていいことだ』と書いたり、嫌がらせもあったりしますけれども、なんでそういう風にならざるを得ないのかなと思うんですよね。」

並木さん「イスラエルの男の子は18歳から3年、女の子は2年半、兵役につくのですが、私が18歳の時を考えたら、まだ何も知らない子供でした。自分が敵と思われる所に身を置くと考えると、過剰に反応してしまう子もいるだろうし、そっちに意識が行く子もいるんだろうなって。イスラエル人の、赤ちゃんを抱いたお母さん達と話す機会があったんですが『子供が生まれると、この子が18歳になるまでには兵役がなくなっていればいい』と話していました。でもそれを何世代もが繰り返している。いつまで経ってもこの紛争を終えることが出来ない。なんとかならないのかな、と行く度に思います。」

また会場からも多くの質問が寄せられました。

質疑「映画を見て悔しい気持ちでいっぱいです。自分は何が出来るんだろうとか何をすればいいんだろうと思ってしまいます。多くの人に知ってもらうのもそうですが、一般人の私達に何が出来るのでしょうか?」

古居監督「私はジャーナリスティックというよりは、もうちょっと記録的な面でパレスチナの生活を伝えたいと思っているし、並木さんは言葉が出来るので、私よりも人々の会話とか状況がもっとわかると思うんです。そういう意味で繋がりはそれぞれ違ってもそれを少しでも広げていく。知らない人がすごく多いと思うんです。パレスチナをニュースでしか知らなくて、侵攻があった時だけ見て聞いて知って可哀そうだなって思われたり、でもまた忘れていく、そういうことの繰り返しで。だけど向こうの人達の生活とか生きざまを見てもらえば、もうちょっと自分の事のように伝わっていくはずです。まずは、知らない事には何も生まれてこないし、向こうの人達の事を感じられることもないと思うんです。」

並木さん「感じるってすごい大事なことですよね。ニュースは溢れているんでみんな知ることは出来ると思うんです。でも知る事と動く事の間に結構大きなギャップがある。それをどうやって越えてもらうかというのは大きな問題で、じゃどういう時に私は動くだろうと考えると、やっぱり守りたい人の顔が浮かんだり、誰かの人生を応援したいなと感じる事があると、次の行動するステップに移れると思うんです。

「だから私映像を見てやっぱり強いなって思いました、誰かにフォーカスを当てて、その子供がどういう事を考えているか、どういう想いをさせられてしまったのかというのを、私達が一緒に感じる事が出来るから。知ってもらう、その次にこういった映像を見て感じてもらって、何が出来るか皆で考えるのが楽しいのかもしれないなって思います。」

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